三叉神経痛の手術経験ある方の三叉神経痛
こんにちは、鍼灸かんなり治療院の神成です。
当院で鍼治療を受けられて良くなられた方をご紹介する症例ブログ、今回は三叉神経痛です。
■来院された方:福岡在住・40代・女性
■主な症状:左三叉神経中枝エリア〜顎・頬・上の奥歯などの強烈な発作痛、食べるときに痛い、水を口に含むと痛い、しゃべると痛い
来院までの経緯
数年前に三叉神経を圧迫している頭蓋骨内の脳にできた髄膜腫の切除。
その後少し落ち着いていたが、痛みが再発して来院。
痛みは三叉神経中枝(真ん中の枝)の領域に主に出る。
また手術をするのは嫌なのでほかの方法を探していたがなかなか改善しないので、鍼をしてみようということで来院。
初回来院時の主な悩み
初回のカウンセリングでお聞きしたこの方のお悩み
- 発作痛が起こると眠れないほど痛い
- 子供を叱ったりとストレスがたまると痛みが出やすい
- 天気が悪い時も痛みが出やすい
- 調子が悪い時は口の周りの筋肉を動かせないので、話せない・飲食できない
- 手術はしたくない
食欲〜あり
睡眠〜痛みで眠れないことが多い
生理〜順調
大便〜1回/1日
小便〜4〜7回/1日
初回来院時の体の状態
- 頭蓋骨の歪み++
- 頭蓋内圧++
- 肩こり+
- 首こり+
- 胃の氣〜少ない(消化力が少ない)
施術経過
■初回
【施術】
高麗手指鍼のみで施術
中指にある三叉神経に相応するツボに多鍼。
顔や側頭部に流れる経絡の滞りをなくすために、三焦経・胆経・胃経などの調整。
2回目〜3回目 週1回ペース
夜に発作痛が出て眠れないことがあるが、少し痛みが落ち着いてきている。
ただ、気候やストレスなどで症状が強くなることがあり、
もう一つ決め手が欲しいので、三叉神経痛に関係のあるコリのルートに直接鍼をしていく体の鍼(ルート治療)を追加し始める。
4回目 1週間後
より症状が落ち着いてきて発作痛が起こる事もだいぶなくなってくる。
同様の施術。
5回目〜23回目 大体2週間に1回
たまに痛みが出ることはあるが、最初に比べたらかなり良い感じ。
同様施術。
24回目
2022年2、3月ごろから痛みがかなり強くなる。
2週間に1回のペースで施術をしていたが、
痛みに中々変化出ず。
2022年6月、以前手術をした病院でなく世界的に有名なある脳神経外科医に連絡する。
「髄膜腫はきちんと取り去らないと、また大きくなってくる場合がある。前の手術は当たり障りのない範囲で無難な手術をしたので取りきれていないのでは?」との事。
実際、術後にそのように伝えられたらしく、おそらくは髄膜腫がまた神経に触れる様になってきているのかもしれない。
後日精査の結果、取り切れていない髄膜腫が大きくなって神経を圧迫していることが判明。
手術をして腫瘍を切除することになる。
ただ手術までの間の鎮痛が薬でもあまり効果がないので、鍼をしていくことに。
25回目以降 2週間に1回ペース
手の鍼と耳に鍼をして通電するBFA(戦場鍼)という手法に変更。
三叉神経痛を改善するのが目的ではなく、症状を抑える鍼に方針転換。
BFAを加えると大幅に鎮痛ができることが多くなる。
手術まで鎮痛することを目的に通院してもらうと。
手術後1度ほかの症状で来院されたが、術後の影響で耳の詰まり感はあるものの三叉神経痛の発作的な痛みは今のところ減っているとのこと。
院長から
初期は手の鍼のみで対応していた。
通常当院の施術はその場しのぎの症状を抑える手法はあまり取らない。(状況による)
今回は脳の腫瘍が大きくなってきていたことから手術が必要。
しかし薬ではなかなか鎮痛できないということから、手術までの間じは鎮痛・症状を押さえ込むことを目的に鍼治療をした。
後半からの激しい痛みには耳の鍼(バトルフィールド鍼灸・BFA)が著効したと思われる。
当然のことだが、鍼治療にも限界がある。
現代医療とのネットワークも重要と考えさせられた。